彼ら、彼らには窓辺。
不慣れ、あくまでも。
その不慣れな窓に尋常様にもたれかけ、
吹きぬ 吹きぬ 眺めやる。
すると、たった一度の宇宙
たった一度の宇宙に草がひとりで凪いでいて
無限回の夕映えにあこがれを等しく映している。
このまま実にすみやかに、
ひとり際限のない、小さな紙きれを手にし、
意識ごと眠っている。
たった一度の夢、たった一度の宇宙で草を食んでいるいきものら、
あるいはそのしなやかな身体で水に浮かみ、小さな子どものそばを離れる香り。
ところどころが欠け、何かをそこに読む人々。
いつもと違い、ごわごわしている姿。
地面の繊細な皮膚、かぐわしい毛束。
分厚い雲は不慣れに流る。
まだここからの眺めは、たったの一度きりにはならない。
ためらいのないやらかさと無縁である頃に、
こうして意識と無限の夢を見て、
生き物らしく賛歌を駆ける。
あれは一度の色、
一度の揺れ、
一度の溜め息。