<1091>「ある暑い日に」

 大きな風車が浮かぶ、、

 野球帽の下に小さく収まっている、

 のどがかわく 涼しい、

 全然見たこともなかった人たちが今日も生きている、

 記憶の蓄積から、机から遠くに来てしまった、

 駅はどこだろう、

 何を食べている?

 それにしても何故ここまで晴れているのだろう、

 快晴のたび、練習であり、快晴のたび、苦しかった、

 しかし今はどうだろう、風車が回っている(しかし今ではなかった)

 わたしには空が見えている、それがどういうことなのか分からない、

 考えを独特の色(いろ)で持っていってしまうな、

 あなたなんちゅう色(いろ)だ、

 場合によってはここからどこか、バスに乗って、近くの駅に戻るのだろう、むろんもう一度訪れるならばのことではあるが、

 電車にはまた別のひとが生きているのだろう、

 新聞を読み、快晴はどこか遠くへしまわれているのかもしれない、

 時折電車では雨が降った、

 雨が降るほどのことではない、と思っても、たまには降るのだ、

 晴れているからなんだというのだ、また練習だ、

 もう練習にはいかなくていいのかもしれない、

 そのために断片が次から次へと現れた、

 たまらずに探り当てて、電車に乗り、またこの机の前に座るだろう、

 なんてことのない確認は喜びではない、が、黙ってひとを進めるものはある、

 全然見たこともなかったひとたちが、諸般の事情からやっぱりまだここにいて、同じように風車と、ただの晴れの日を同じ格好で、わたしと一緒に眺めているのだが、それはどうした、

 むろん喜びではない、しかしこの事実もとい妄想のことがわたしは好きだった、それでいいのではないか(何が)

 気づいたら駅のホームにいる、それも、ベンチには座らない限りで、

 ここの電車と快晴はなんの関係もない気がする、しかし見上げると晴れで、おや、なにかな、とは思う、

 たまらずにぼんやりとしてしまった、

 それも全部が全部あなたの色(いろ)のせいだ、

 汗をかいていた