<1056>「移りぎな声のなかに」

 もぐる、、

 たれの声のなかなのかも知らぬ、、

 ぬれているのを忘れている、

 よれる よれる

 まじめにその小ささを数えて、

 声は知らん 声は知らん、

 たくみな華やぎのなかにあらはれて、

 こはまたなんというところ

 そのうつりぎな うつりぎな

 まるでちべたい

 まるでちべたいのを忘れて、いつまでも浸かっているようだ、

 交わしたたくらみが徐々になかへ なかへ、

 そうして溶けて なかへ

 溶けて

 あふぎみ あふぎみしつつあふれてゆく、

 短い感想が いちどきにいくつも起こって、

 あまたあるあたまのなかで寝ている、

 わたしがたれであるかを静かに放(ホオ)ったところで、

 ひとり寝ている、

 生きていることを静かに数えた、

 あの姿はたれだろう・・・

 もぐり もぐり もぐり、、

 いままたひとつあふれ あふぎ、漏れてゆく・・・