<1189>「青く照る身振り」

 踏んでいってよ

 剥がれて、、

 そのさきで、顔からまず剥がれて

 お前みたいな膨らみのなかに顔を浸けていたい

 穏当な、青い声の、

 まばたきの、

 真摯な膨らみに、

 

 あるときにまさらに敷かれたこのヤで、

 剥がれるままでいるとせ、ものともせで、

 尋常、さあらでそのままの温度で踏んでいっておくれよ

 芯にかけておくから

 このままでかけておくから

 あたしの青く照る身振りを見てもらいたい、

 やや淡い香りのする姿をそのままに、舐めてもらいたい、、

 浸した顔の夜の中の香りはこのきびしい憂いを越えている

 どこからこれだけのものを集めて敷いたのだろう

 また踏もう、踏もうと身体を振るけれども、

 その方角に一度と限らずに積もっているのですか、

 

 いやだ

 あたしが出会うものといえば紛れのない身体なのだもの、

 どう咥えたらいい

 どう転んでいたらいいだろうか、

 尋常な肢体を映している、、

 ありとあらゆる風景から剥がれてしまって、

 身体はひとりでまるまっている、

 集まっていたという感覚から、

 ひとり時間を離れ、、

 見事なまでに立ち上がっている、

 

 そうしてひととおりの挨拶を済ましたものだから、

 ただ押し黙って飽くまでも相手にして眺めているよりしょうのないけれども、

 これは何だ、

 おい誰がこんな匂いがすると言った、

 ぞっとするほど、大仰な香りを備えて、

 何処へ行く、

 お前ずっと前からここにいたのじゃないね、

 来たところを言えるね?

 さあ聴いているから、

 

 だのに今は鈍く光るものの前にいました、

 このときお前さんは驚いて口が割れたでしょう?

 驚かなくてもいい、驚かなくていい、

 このときに初めて聞いたんですからね、

 わたしには聞こえているから大丈夫ですよ、

 安心してひろがりなさいと言ったんだ、

 憶えてますか?

 お前さんはひょっとすると知らないかも分からないよ、

 でも見ただろうと思う、

 何かは分からないままでやっぱり見たろうと思うよ、

 そのときからまたどろどろに溶けてしまったんだ、

 あ、それで、このことは忘れてくれるといいな、とそう思った、

 でも静かに身体をかためたままで、

 じっと見ているのは それは知っている風だったね、