<947>「小さく踊れるから」

 ある日、そこの角(かど)を横切るのがわたしだから、わたしは小さく跳ね上がる。

 わたしはそこへ小さく踊っていたのだよ

 わたしはそこへ小さく踊っていたのだよ

 何色のひるがえりが・・・?

 見もし、かけあいもした日(ヒ)の、涼やかな姿が?

 特段、歩行ともなんともゆえぬとき、

 特段、さいわいともなんともゆえぬとき、

 ある日の姿が耳に過ぐ、

 さいわいと、これさいわいと、うちを棲むままの色(イロ)で過ぎ、たれか残りの風を受ける。

 生命はさいわいの角(かど)を過ぎた。

 あたしには言(こと)のつらぬき、

 あたしには言(こと)の眺め、

 やわらかなかたち、やわらかな全体の、その立ち姿は、わたしよりも広いのだから、、

 わたしが余計に止(と)めてはいけない、

 ただ聞いたことのないというだけで、むやみやたらに止(と)めてはいけない、

 そこで、まともな軽さを持った、わたしの粒に出合う。まるで似ていない、ひといきの粒に。

 繰り言のひそかにすむ、その隙間へ、ひとりは泳ぐ、ひとりは泳ぐ、

 ただの息の継ぎ、そこに一瞬間(いっしゅんかん)の、惑いはあはれ。