<942>「ひとみは無種類の活気を帯び、あなたを呼んだ」

 ひとみの逸れて・・・。わたしは夜(ヤ)、、をおぼろげに見た。

 そこではどんなにか跳ね。

 そこではどう見ても雲。

 ひとみは言(こと)を垂れる。また雲のかげに隠れ、それでも差すこと。

 ものは移り、誰も止めていない。

 円を描(カ)き、円を過ぎ、ひとの呼吸はぶれない。

 幕がふと揺れ始めたもの・・・。

 わたしは芝の匂い。

 照明のもと、ひとひとものものの沈黙は大げさだ。

 あなたの声は即座に増えていった。

 耳はそれぞれ別の名で、あなたの前にあらわれる。しかし構わない、

 無際限の揺らめき。ひとの喉に乗る、それから酔(エ)い、緑色や赤、空気を待つ道・・・。

 日々の後方の後方で、ひとのしわぶき。

 ここには、誰のものか分からない笑みがある。

 ひとは窓を見、明日(あす)を身につく。

 夕方になり、角(かど)は安らぎ、モニュメントはなめらか。

 ひとの笑みを抜け、ゆきさきに、真っすぐささっている。

 おそらく細い おそらく細い

 ひとみは無種類の活気を帯び、あなたを呼んだ。いちどきり小さな声で、あなたの名を確かに呼んでいた。

 あなたは晴れた。これという前触れもなく。

 道に次ぐ道は、確かなひとみを前に、一度きりの夜を今静かに取り下げた。呆れ果て異なる日、の差していた・・・。