<1952>「温、と」

 かたい命のはしを直にその手で触っていた、

 お前はその様子のなかで、

 ただ、湧いているのを感じ、

 ああなんだな、と、ずらずらと出てきたのだ、、

 そこに通る声と、

 まともなものさしと、

 ひとの熱にふられてゆく姿・・・

 あたしのその姿形、

 なにを通る、その肌の、、

 語りの形、

 いまやもう根にやわく張っているのだから、、

 さいしょうの歩、踏みよ、

 あなたが道のなかへ見えていることを、

 知る、

 は、は、まなかから出でて来て、は、、

 この長き声のあたるところへ、

 お前さんと、

 なにかものも滑る、

 かたわらから明らかに溢れて出てしまう、、

 そのはらい、、

 その静かな命のはらい、、

 

 私はひとすじの上になにかゆらと立って、、

 ここを眺めるでもなく、

 なにとなに、過ごしていました、、

 はたから時刻などきこえ、

 ものを揉み込む、仕草などが見え、、

 あたしは、そのまま、、

 この時刻へ増えていっているのでした、、

 ささいな過ぎハ、

 あたしははたに手をかけ、

 ここの呼吸を掴むものと見える、、

 どこからか湯気、

 わたしは食物の、そのほのあたたかさのなかに、

 紛れて、

 ただ雲を掴んだようなものなのです、、

 簡単に、一個として、置いておかれて、

 自由に流れていくのだと思いました、、

 

 たのものに触れるよ、、

 わたしはあなたがた、

 この、混ざるとも言わない、、

 流れとも言わない、

 ひとつの呼吸のなかに、あなたのひととおりの意識を、

 集中させるものと見えました、、

 全部にきこえている、、

 この音がどうなのか、

 私は口をアけていました、

 流れなど全てここへあたり、、

 次第に次第にそのあなたのなか、、

 どこから来たのか、

 いまはたでは分からない、、

 私は蓄っていく、、

 どこからどこへの印かも分からず、

 非常な速度で、

 蓄えられていくのだろう・・・