<930>「眠った鐘」

 ふるは、さいわいに。地面を聞き、地面をたずぬ。流れて、身(ミ)のまだ緑に光るるところへの、仕方。おのの身(ミ)の前にひきずり出す。

 叫び、は記号の外に出て、空気中のなかになにとして振舞うか、を・・・、、決めかねている。ひとのホホを撫でる。ものが立つ粒が立つ、扉にも満たない扉がひとつ開(ひら)くと、そのなかへ、いや、あるいはそのなかから問答無用に押し寄せ、佇み、目という目をつらまえる。

 いとわない淀みのことをつらねていく。肉は立ち上がる不意につまずく。おくれてわたしのなかを冷たい風が駆ける。めまえは激しく、大袈裟で、ただの白さのなかへ置かれているものと知る。

 結う、は、問わず、ただ手から手へ、想起から想起へ、あるいは叫び出すものの前に順に現れる柔和として、ひとりの話体でゆく、ゆくはゆく、進む。

 文字を遠く、ひとりの声の滑り出すところへ、垂れれば垂れ、ひとはためいき、長くすすがれれば、道はなく、音は良く、ふるわれて、また名をそのなかへ巻いてゆく、巻いてゆく・・・。

 気味、、が開(ひら)いて、寸法に近づき、ひたいはひたい以上を遠慮し、ゆるやいでゆくは活気、ひとのパチパチとはねる、ものは眺め、意図のなかで、ますます知る。

 垂らす、垂らす、垂らす・・・。まじまじと見るその目のなかへひとは鐘を埋める。ひたすら鳴る。わたしが忘れた頃に、そこでは、ボゥン・・・と叩いて、あれは雨になりあれははかない日の確認となる。

 粉々と、すれば、ひとは突然蓋の外を知る・・・。