<865>「全体言語は、今生の染み」

 水がまだ、ノ、ひとつ、ノ、声(こえ)。

 それに対し(て・・・)、シンプルな、苛立ち。生活が次々する、と、聞いてはいない、で・・・。素朴と、意図と、まだあの、潜り込んで、ゆくことの・・・フ、れ? かた。

 今生を染みてゆく、その、流れ、あるいは「言(こと)」の可能性に、ひとつは、指をくわえていた記憶。ひとつは、内側が締め出される・・・。

 僅かな、それも、こぼれた、方(かた)、ただのよその人、ノ、ひとつ、それに呼吸(私を見た・・・)。轟音に対する振舞いの、貧しさ、あとの笑い。

 記憶違いの風景の、そこで頭を抱えている、のどかな時間のなかで、私は突き抜けた香りや風に対して胡散臭いという表情を持った。いや、誰が胡散臭くてもそれはそれで、良かった、と放つ、だけ、訳(わけ)は寂しい。

 表情の、一枚上に重なる、頑固なかげは、全体言語を今か今かと待ち構えている。果たして、私は、全体言語の隙間をくぐり抜けたことがあったろうか・・・。

 例えば、よその人の懐疑は、まるでひとつの音を見るように、めくられたものを不安定にする。言語は辛うじて音量をも含んだ。

 不意を突かれたのまた、理由は並びに存する。

 「どうしてその並びなのなぞと、問うていてはいけない。」

 いけないこともないが、弾(はじ)き出された場所がどこかに引っ掛かり、ことあるごとに点滅するのを眺めては身体(からだ)のリズムとともに悦に入る。記憶は私そっくりである。

 まだただの一言も知らないと考えるのは場合によっては奇妙でもある・・・。