<813>「歴史はあなたの皮膚をまとう」

 所、とともに、忙しなく動き回る物柄。

 形を食べたあとで、約束と、機会と、心がけのほころばしさ。

 軽い。軽い。

 跳ね際に、私が見失ったもの。私は一枚先の皮をまとうた。見慣れた風景はなく、戻るという言葉はない。

 例えば、訳のない響き

 頭のてっぺんを 摘(つま)み、ズるッと、めくれる音のする。そこで、誰を置いておくか。角(かど)に名残惜しそうに見守る人々を容れるか。出鱈目にうねり、

  ヤ、ヤ、そうじゃない

 という感想を浮かばせた上で、また跳ねる、また跳ねるか(跳ねる先に見失ったことどもの列に並ぶ)。

 あたしは快音。それはあたしのなかの快音。

 心ごとのよい子どもごころのことがあなたのなかに尋常のない輪っか的な音びととなり(鳴り)響く(成り)(為り)。

 歴史はスタアか。

 歴史はスタアを角(かど)で待ち伏せして尋常でない音を出す(ヤ、ヤ、そうじゃない)。

 歴史はあなたの皮膚を一枚まとう

 ヤ、ヤ、そうじゃない?

 たかだか隠れんぼ。そうじゃない。私は隠れごと。一昨日に皺を寄せ。る。ル、る?

 かつらをほぐと、お隣さんは私をまといに来る。私は一日で贅沢にも皮(河)になった(であれば、「コン」金「キン」色「ジキ」の音)。

 ヤ、ヤ、そうじゃない

 私の安堵。時計の静か。時計がベリベリと剥がす。ねぼけまなこの音、の途中には、内臓的なダンス。たごやかなダンス。かつらを縫いで私を真正面に立たす。私は真正面に構え、一枚をみだり(ラ)にここへ置く。