<756>「この一点」

 とにかくも、立ち上がった。やたらに静かだった。俺は、何にもない一日を思い出して、これもまた静かだと思ったものだ。別れと、ふさわしくないものに、突然、弱々しさと風が当たりはじめる。ああ、今度もまた、俺の年齢がない。

 例えば、全部が全部、このために用意されたものだった。としても、偶然に振り向いている、偶然の方へ、何の気なしに振り向いてみせるもの、と、当たり前に考えている。どこからか追い出されてきた。呼吸が落ち着いているので、顔でも上げた。

 なにやかや、と、関係づけようとしても、眠りはなおどれからも遠く、別人が、あればあるほど集めて回るべきだとも言う。ここからいくら離れてゆこうとしても、その、曖昧な撫で方に、撫で方に関わるものに、自らの揺れを集めなければならなくて。