<700>「熱狂する眼のなかに」

 お前よりあなた、熱狂を拒否する目で、物事の間に沈んでいっては、新しい素振り、新しい朝。例えば、全然眩しくないのに、ゆっくりと移ろってみるなどし、確かめて親しげに、きっと、嬉しいのか否かで立てる音が少しずつ変化する、という意味も込めて、澄まし顔。

「どうしよう」

再び怖れに似た体力を呼び覚まして、向くよきまぐれ、足先、ただならぬ深さに似て、たくましい。

 分かち合うより早く、それも、乾かし、どうかしないだけで立派なもんだと連なる日々、例えば一秒一秒。混ぜた上で、何度も何度も一番上へ浮き上がってくるのだから、それを掬って、場面ごとの言葉にふくませていく、思ったより軽く、そして聞いてない、何故か、愉快だけが進んでく、どれだけか訊ねず、どこまでかも決めず。

 戻ってくる、と考えて、結局次々新しいところへ移るのだったが、それはそれなのあんまり場所から変わっていなかった。突然取り戻した? ううん、なんにも取り戻していない。誰のために同じような顔、でいつまでもあるのか、それは、戻ってこれないから、そのようにした、として納得するまでの話である。やけに増えて順番を適当にひっくり返してゆくと、ほら、彼は幾枚も幾枚もの重なりのなかにあって、親しく手を握っているのが見えている。

  その点僅かに赤らめてふやけていくところ待たない