<701>「濁り重り」

 大事かどうかも構わず隠れて、訊ねられて、慌てている、わけも分からず。どのように不明、どのように不透明、直接歩くときだけに、濁りが晴れて、重りも跳ねて、

「もう動けない」

という笑顔。裾もなし、声もなしで、よそからよそへ向かうもの、うろたえているなかで、呼吸はひどく新しい。何事にも新しさが必要だと言われているが、そんなに新しいという理由で見るか、さわってゆくか。

  とにかくも、それは人々の目から隠れてゆくように見えたから

 いけない、ここでは難しい顔をして通らなければならない。私にとって、何が難しいのかが明確でなくとも。その難しさは、過ぎるたびに期待され直す。

「さあさあ」

と言わんばかり。例えば難しい顔の代わりに悲しい顔などを披露してごらんよ、次々に口元が抗議に見えてくる。逆さまになってこの穴を仰ぐと、怖ろしさなぞいうものはどこかへ退き、ただの滑稽さと正確な発音とが入れ違いに現れてくるのだ。