<537>「虚ろな人の数え」

 誰も、冷静さが武器とは言わなかった。それはそうだろうやがて、眺められることなどが諸共放り出され、無感情に何かを数えてみるのだが、いちからいちへ、この渡し合いに何の繋がりもなくて驚いているのだろう? そのうち、この疑問は穏やかな昼間のなかで拡がって、ある一定の着地場所を得る。ただ、それは願いの強さに因るのであって、決して何かを確立したためではない訳だから、また空中に放り出され、疑問らしい音を鳴らして過ぎていく。やあやあ、困りましたな。これでは、全て計算で済むようではありませんか。君のその警戒する動きがいちとにであったり、そんなことの積み重ねであったりするという話を素直に受け容れるのですか? 受け容れていないことは別段凄いことにもならないでしょう。なおさら、そこで構成されているのはリズムだと言いたくなる訳です。