<359>「単純な時間」

 本当にやりたいことならば、必ずやっているはずだなどと、あまり簡単に思ってはいけませんよ。ええ、やはり、我慢しているはずです。誰に頼まれた訳でもありませんが、もう少し我慢している方がいいのかしら。どうだろう。

 本当にやりたいことが為されないという複雑な楽しみを受け取ることは、そこまで不快には思われないのですが、単純さを享受出来ればそれに越したことはありません。ああ、私は単純なのです。単純でないとしたならば、単純さが好きなのです。しかし、もう少し居心地が良くあれませんか。居たたまれなさが少しだけ軽くはなりませんか。私はそこにいることが嫌ではないのですが、どうもいつも居る場所にしては違うのです。