<358>「眠りと小便」

 振り返らなければならないことは何か。点検しなければならないことは? こうした余裕のあるということが、最後であるという事実と上手く一致しない。ああ、全てのものは流れて行ったのだったが、頭の中でひとつひとつを取り戻すまでもなく、大量に引き戻されてくるのだ。感じることは、誰が経過したのだったか、ということで、これはもう私に、流れていく準備が出来ているということなのかもしれない。一番前の景色が映ったような気がしたが、そうと証明するものはない。これだけ眠く、思考という思考がバラバラに散り出していくことを意識しながら、それでもトイレに行って、小便をしたくなる。小便というのはしなければならないからしているだけではないのだ。もう、間に合わせる必要も、単純にする必要がなくなった瞬間にも、小便はしたい。最後の一呼吸に、それはもう要らないじゃないかあってもなくても同じじゃないかといっても仕方がなく、これからのために要るか要らないかだけで呼吸をしている訳ではないのだ。必要があってという訳ではなく、こうやって進まされてくるのだ。意志とかそういうこととはあまり関係がなく、安らかな眠りが時々挟まれるのは、いい休息になればいいというだけのことではなく・・・。