<215>「なんだか当たり前に」

 ただ在る、ということの否認は、自然の否定だ。それでいいんだ、ただ在るだけでいいんだと頑張ってみるまでもない、それだけのことだ。ただ在るだけだなんて・・・と軽蔑しようが、それだけのことであるというのは変わらない。作りを見ればいい。どこまで自分が動かしているか、肝心のところは、気持ちとは関係ないところで勝手に動いているではないか、理由はないではないか。

 自分は自分だ、それ以上でも以下でもない、というのは、わがままの表出でもなく、反発の表現でもない。ただ在るということの確認だ。決してそれだけの、ただ在るだけの存在なんかじゃない、と考えるのは希望であり、夢であった(のか?)。しかし、それはちょうど悪夢に近い。