<79>「痕跡と別様」

 一度止まれば、止まらないことの方がどうにもおかしい。そういう訳で流れ、ざっと流れ出せば止まっていることの方がいかにも不自然。そうしてたった一滴だったものがぬむ、ぬむ、ぬむぬむぬむと染み出して、見境もなく私は前後左右に・・・。進化、一本のライン、それはまだ見えていないものも含めてだが、発展というイメージの欠如、であるからどうにもこちらでは染み出してその乾燥、また一箇所からぶわあっ、ぬむぬむ、また乾燥、ぬむ、また乾燥。それが、その痕跡が何らかの形を成しているかどうか、もう今となってはそんなことはどうでもいいのだが、判断をするとすればそこでするしかない。要するに判断はなくともいい。まだ生きていたとしたら全然別様になっていたのかもしれないが、いや、確かに全然違うものになっているのだ、だが、痕跡を見留めると、そこからかすかに同様みたいなものが漂っていて、遥か背後に・・・。痕跡がまるで参考にならないときでも、なんのなんのあたくしはついてゆける。そこに何を見た、信頼?