『○○君はこんなに良い子なんだし、両親もきっと素晴らしい方達なんだろうねえ・・・羨ましいわあ・・・』
見た目の問題か、普段からぼーっとしてて特にその場を引っ掻きまわしたりはしない性分のためか、知り合い程度の人には、やたらに良い子だと思われる節がある(そして良い家族だとも)。
何故そんなことを言い出したかというと、今日またこの類のことを言われてしまったからで、今までは、自身の実情と評価の不一致に居ても立ってもいられなくなり、
「イヤイヤ、あんまり性格も良くないですし、家族関係も別に円満という訳ではないんですよ」
と、いちいち訂正を入れていたのだが、今日は、もう入れなかった。
経験上、自分が何と言って弁明しようと、他者が私に対して抱くイメージというのは覆しようがないと分かっていたからだ。仮に、
「いやいや・・・」
と否定したとしても、各々が私に対して抱くイメージの方が各々の中で強すぎるので、
「またまたあ、そんな謙遜して」
と弾かれてしまう。また、これは評価が一転した場合でも同じで、
「いやいや、そんなに言われるほどはひどくないですよ」
といくら私が弁解をしようが、一度転じたイメージというのはまた、その人の中で強固になって簡単には覆らなくなる。
つまり、良い評価だろうが悪い評価だろうが、他人が私に対して下しているものを、私がひっくり返しようがないのだ。だから、
(そんなに良い子ではないんだけどなあ、そして家庭も)
と思いながら、黙って的外れな評価を微笑で受け止めた。