焼き肉に対して失礼

 良く言えば若さの証、悪く言えば向こう見ず、ということになるのかもしれないが、外食で焼き肉店に赴いたときは何故か、腹がはちきれそうになるまで食べないといけないような気がしてきて、実際に、必ずと言って良いほど毎回、苦しくなるまで焼き肉を食べてしまうようなことになる。

 もう腹は一杯だ、充分だと分かっていても、そこからまたカルビだロースだと立て続けに頼んでしまう。

 別に、そうしなきゃいけない理由もないのだが、焼き肉にはそのように向かい合わないと、何となく焼き肉に対して失礼のような気がするのだ。他の料理ではあまりそんなことも思わないのだが、何故か焼き肉だけは別だ。理由は分からない。仮に、

 「うん、このぐらいで腹の収まりもちょうど良いや」

という状態で焼き肉店から引き上げてしまったら、次にまた焼き肉と出会うときに、私はどんな顔をしたらいいのか分からない。そもそもそんなことをして、焼き肉はまた私に会ってくれるのだろうか。

 やはり、腹が苦しくて苦しくてしょうがないという状態にまで持って行ってこその焼き肉だろうというような気がしている。