錯覚しているのが正常で、錯覚していないのが異常で

 一昨日書いたことにも繋がるが、過去の私と今の私は、同じ人物でありながらも、全く別人であるということが言えると思う。しかし、その事実を心の底から納得しているかと言えば、納得できていないというのが正直なところだ。

 つまり私は、過去の私と今の私とでは、知識や構成物など、何から何まで違ってしまっているのに、それでも、過去の私と今の私を、

「同一線上に存する同じ人物」

だと錯覚しているという訳だ。

 そして、そういう錯覚をしていることが、世の中の方では正常だとされていて、反対に、過去の私と今の私は全く別のもので、そこを繋ぎ合わすことは出来ないとして、錯覚を起こしていないことは、異常だとされている。

 しかし、何であれ、ものごとを錯覚している状態というのは、異常な状態なのではないのだろうか。対して、全く錯覚を起こしていない状態というのが、正常な状態なのではないだろうか。

 どちらが正常で、どちらが異常だろうか。分からなくなった。