全くそうだ、と共感する。はずだ同じ悩みを持っていれば。それがどうだろう。悩みが私のものとそっくりになってくればくるほど、いよいよ、ああという共感から遠ざかっていくような感覚に陥る。
これは他人の話だ、他人の嘆きだ。そういう思いは、吐露された内容が私の考えに近ければ近いほどに強まる。同志に一番親近感を覚えない。
どういうことだろう。あまりにもそっくりで、それがスッと自分の外へと移ってしまったような・・・。テレビに映る不徳を次々に見、批難でも何でもないただの感想を述べただけで、自己の中からすっかり異常が失われたように錯覚するあの、恍惚とした落胆具合。そういうものに似ている気もしないでもない。