<1000>「わたしが課題だと考えていることは」

 わたしが課題だと考えていることはわたしの課題ではないのかもしれない

 じねんと浮かぶから(じねんと浮かぶから・・・?)

 たれかが静かに明確なこたえを出すわけのものではない、、

 また揺れよう(どこへ?)

 また揺れよう(たれのとこへ?)

 あいだからこまごまとしたあかり、(ただのひかり?)、、煙たいもの、たくみな輝きが漏る、

 うたもウタう、

 忘れがたきヒにあなたの照った姿、

 は、

 とても目に眩しい、

 わからなく激しい、、

 うつろうヒのなかにいつかのわたしのささやき、語らい、すがお、普段が映る、

 わたしの目のなかにたれかの記憶が棲んでいる・・・、

 こそばゆい(こそばゆくて・・・)

 少しかゆい

 ただの気候が人々に染(そ)み、してゆくように、

 わたしもただの温度になって、そこここへ染(そ)み、あるいは伸びてゆきたい、、

 風に、ただの一瞬でなくなり、、

 べったりとした印象を時折残す、、

 風に、風に、または風に、風に・・・、

<999>「ひどく歓喜の糸で」

 あふる あふる あふる

 見つかりっこない(何が?)

 そっと言葉を置く姿、

 誰よりも切なく、 誰よりも柔らかく

 ひとが言葉を置く姿、、

 お前はここへひっかかった、

 それも、さいわいに それも笑顔で、

 何やら緑色のものが駆け、身体(からだ)のなかを渦巻く、

 ただ濃いィ ただはやい、

 あたしの耳にほふり込まれた言葉たちや、

 たちやい たちやい

 ひどく寒くてふるえているやつら、

 歓喜ノゥ・・・上昇、踊り→回転や、ひとたび目覚めた子ら、、

 その目は揺らぐ、

 ひィ・・・いや、あかり・・・いや、そんなじゃないそんなじゃあない、

 ぼんやりとして・・・

 わたしたちのホウを見、据えた、

 それからの出会いは、

 ただからからと涼しい風が吹き、わたしを誘い、あなたも誘って、まだらな眠りの影を丁寧に踏むような・・・、

 心地とゆえばよいか、、

 この織糸、、ただそこへひろがる織糸のうねり、

 微妙なふれィ、

 あたたかで、やわらかくて・・・、

 まだそこゥからほのかに、次第に言(こと)の香ってくるような・・・、、

<998>「記号のない時間」

 またもや増えている(あしのおと? 違うにおい? そよかぜ・・・?)

 たとえば鐘の鳴り・・・、響きの残る木、、

 その木、曖昧な木、その曖昧な木、、

 わたしの香り(言葉で表すしかないもの・・・)は、そのしたたかな、静かな風に包まれ、おのが鐘のよってきたるところをしらずところのその木に、触(ふ)れないような触(ふ)れィかたをする・・・、

 ふふふ ふふふ

 いまいちわからない、

 この肌をしたたかに撫ぜる風の、その仕草が分からない、

 無名の、無色の、無形(むギョー)のあしおとに直に触(ふ)れている、、

 ふふふふ

 ただ止まる、、(ときどき戸惑いつつ・・・)

 あたらしい香り、

 華やぐ名、その名のとおり、

 名のとおりの形になってゆく、

 似てくる

 わたしの肌にそれを染(そ)ました祖父の穏やかな笑みが見えてくる、

 記号のないところでわたしは応えた、

 たとえばやわらかな笑み、(破顔)(破顔)

 きれいな光のなかにまぶされている、

 ゆくえを教えて、、

 祖父は笑(え)んだまま小刻みに顔を横へふる、

 わたしはここで笑むことしか出来ないんだ、、

 そのあたたかさを瞬時に悟り、わたしは方々へ伸びていこう、

 と考えたと思う、うれしい、そう思いたい・・・、

<997>「静かに、新しくなる名前」

 たれた

 たれか、

 わたしをものすごい勢いで覗いているのはたれか、

 たれだ。

 あそ あそ

 あそこから見えている、、

 あそこから必要以上に見えている、、

 ものすごい勢いで ものすごい流れで、

 わたしの方面を眺めているから、

 わたしだってものすごい笑みだ、

 ものすごい笑顔だ、

 それはそれは

 しかしどうして、あなたはここにいる(そんなことはいいじゃあないか)

 ふるえている、、

 あなたの名前は静かに新しくなっている、

 まだらけ まだらけ

 ひと違う、、

 やあしかしわたしのなかでは上手く違(たが)わない、

 みんなおなじ明るさで、

 たとえば手を大きくひらいて迎えらるる映像が、

 そのあたたかさの発露が、

 どうしても見えてしまう、

 どうしても触れてしまう、、

 ぱたぱたとした新しさのなかに次々にひそんでしまう、

 けして しらない

 けして触れたときにだけしか知られないあなたの秘密が浮かぶ、

<996>「染まる音をきいて」

 ぶれる

 優雅な煙のなかに居(イ)る、

 煙を吸い込む、

 吸い込むのはわたし、、

 吸い込むのは記憶、

 わたしを指差して軽やかに笑う、、

 おだやかな場面の真んなかに、わたしがいる、

 そのときも、煙を吸っている?

 いいえ、分からない

 うたかたの日(ヒ)、

 粒や粒やらがよりくっきりし、じねん色(イロ)や、味も濃くなってゆくとき、、

 わたしはあたたかい

 ぽかぽかとし眠らないではいられない、、

 鳥の声が、わたしのなかで長くなる、

 ひとは軽やかに跳び、あけすけに笑む、、

 日々はその黄土色した土のなかへ、

 土のなかへ徐々に自身を染(そ)ましてゆく、、

 はたして、染(そ)みのおとを、ひとかけらの蟻が偶然にも聞いていて、ぶるっとひとつふるえたのだった、

 そんな素振(そぶ)りであたたかくなってわたしは眠ってしまった、

 いつかただの陽(ヒ)はじかに、わたしの指先に触れていた、

 やわらかい

 気持ちいい、

 おぼえず指を絡め、そのまま甘くとけてしまうはずになった、

 水がだんだんに内側で華やかな色(イロ)を持ち始めた・・・、

<995>「わたしの喉から知らない記憶が鳴っている」

 なかはそと、

 あられ あられ あられもないあたし、

 あら、あら、やだ、やだ。

 特別な声、よばい。

 特別な声、ゆらいでい。

 ひとりきりのまなざし・・・。

 隠れて覆いし、

 ふたつとない日々のなかに、わたしがポッ、

 ポッ(ポッ・・・)と、照らす、、

 あるいは騒がしいまま、、

 あるいはいまだにかわいいまま、

 なんだか、わたしの喉から知らない記憶が鳴っているような、

 関係の全てが勘違いであるような、

 まどろみのなかに全部が全部で鳴っているような・・・、

 うん うん

 間違って目覚めた全てに、丁寧にわたしを重ね合わせていって、

 その紙のささやく姿、、

 その白さのまた異なった色を目指す姿、、

 そして、、

 わたしは深くなってあなたを容れている、、

 特別な口づかいに感謝している、、

 舌の上で転がされ、ふくまれた時間は、何度目か分からなくなった眠りの姿そのままで、

 はるかに新しい、

 はるか彼方に見るあの、新しいさわぎが今、通過する、

 万感ここに砕くる。

<994>「穏やかなヒの夜の」

 そいやあ、あれ

 あの、あれ、

 どうなった、

 いやしらん、

 しらん しらん しらん

 どうなったかしらん、

 なんて、

 ふざけたくなる一日、

 今日はぼくにとってふざけたくなる一日なの(それはよかった)

 よく出来ました、

 こんなわたしにも、よく出来ました、

 お互いがお互いを眺めて、

 ただの裸のまま眺めて、

 ほーゥッ、、と感心する日だ、

 する日だ今日は、、

 なぜかあなたは照れ臭い、

 照れ臭くて夜に生きていた、

 みな、そこかしこで、穏やかなヒを持ち込もうとしている、

 持ち込もうともがいている、、

 普段は笑顔で、そんなものおくびにも出さないけれど、

 なんて、

 そんな夜は好きだ、

 ぼくが静かに過ごすのもうなずける、

 ひともひとも、ものも、みな黄色くなって流れてく、

 あたらしく溶けるために、

 そのよろめきの先でまた目一杯に花をひぃらくために、