<1301>「裸形の息、風が立つ」

 あんまり私には次から次から色が現れてくるようだった、、

 それで どこまでも声が響いてしまう、

 歌が試せてしまう、、

 それにすぐ紛れてしまう、、

 一切かすれないままで見事に印されてしまうから、、

 もう、、これだけ照っていて、、

 色は微風に揺り動かされ続け、、

 声が円い印象を刻むところ、

 

 あたしが真昼間の見通しの良さに裸形で出合っているところえ、、

 何でもない裸形はしまっておくがよいだろうと考えているところえ、

 揺り混ぜた複数の香が、、

 それが無際限に今を示す、、

 香りが確かな線をひっぱり裸形は今を無際限に受け容れている、、

 

 そんなものは息を継いでいればただちに分かることだ、

 そんなものはこの次々に反射する姿に混じってゆけばすぐに分かることだ、

 あんまり息をのんで角度が変わってしまう、

 この流れへの、

 ひとつの接し方が変わってしまう、、

 わたしは志向性にいちいち印をつけてそのままぐるりと巡らしてしまう、、

 微風が立つ、、

 微風は音もなく立っている、、

 

 その香を受けてひとつの顔があまりぼうやりと浮かびあがる、立つ、、

 もうそのままぼうやりと立つ、

 言わばその目線のなかに和やかに住んでいるという意識、

 日々の、少し違う香の立つ意識、、

 あんまりゆっくり刻まれてしまうとその、

 それぞれに入ってゆく、、

 それぞれに溶けてゆくことどもが今見えている、、

 

 明確な声がここに現れる頃には既に始まっていた、、

 私も色が乱れるようにここえ流れ出ているさまを既に眺めていて、、

 少しのあいだはそれを不思議とも思ったかもしれない、、

 もうあんまり流れていた、、

 身体はもう次々に色が混じるのを見ている側だった、、

 それで、どうやら堅固であるらしいひとつのこの身体え、

 小さな揺れは少し入ってくるような身振りを見せたらしい、

 私はそんなことは知らないとここでひとつ言ってみるのだけど、

 (そうではないと上手く微風が吹き渡らないではないかしら)、

 それでまだぼうぼうと当てられるままになってみているのだけど、、

 そんな気がする、、

 身体のなかの円いリズムはただいちいちの時間にそんな気持ちをさしているのだ、、

 微風が流れ込むに従って、、

 いちいちの細かい粒がかつてないほどの量をもって挟まってくるにしたがって、、

 どこへも散ぜないような表情を見て、、

 不思議の思いがどんどんと響きわたってくるのに従って・・・