<1183>「一個の身震い」

 その奥へ手を、

 まく、ま、ま、巻きなさい、

 なだらかな、

 無言で、無表情で、、

 あたたかく、

 そっけない顔をした、

 滴るなかを分けて触れるのがわたしです、、

 意見を提出せないのです、

 まだ生まれてはいないのですから、

 言葉はいつとも知れずにかかってきているのです、

 触れましょう、触れましょう、

 どんな肌だとする、

 どんな顔だと、

 生まれてもいないものの指が見えましょう、

 それはあなたに張りついて、流れます、

 

 見立てた先にあなたがいて見立てたところ、もとのところにあたしがいることを見留めましょう、

 それから身体が別であることを改めて言うのです、

 もう生まれたのですから、、

 奔放な流れはここで巡ると決まったのですから、

 見立てのなかに精巧な身体が映りました。

 それは誰にも似ているでしょう、

 しかし この根を意識します、

 この根を意識して全く身体とは一個であるとここに宣言いたしましょう、

 静かな空気に触れまし、

 静かな出で立ちに似まし、、

 今の身体から次へ次へと移りましょう、、

 たった一個であることは当たり前のことなのです、、

 それはどうして驚きでもありますね、

 まじまじと眺めてください、

 

 ねえ、ねえ、知っていますか、

 あんまり遠く、小さいところから、

 あなたとはあんまり遠く隔たっているところから、

 ひとつの身震いが生ずるらしいのです、、

 ほのかに香気がのぼります、

 しかし困惑せでいられますか、

 当惑は身体の方にありますか、

 それとも、身体を眺めるあなたのなかにありますか、

 同じことでしょう、

 同じ呼吸が通っているのです、

 見えますか、

 そうです、しかし、もっと奥です、、

 あなた、指を持ちますか、

 そうです、それです、

 じっと中へお入り、静かに染みてください、

 そう、そう、

 もっと。

 ふっと最初の呼気が、

 そう、軽く、軽く、確かに漏れるところまで・・・

 見えますか、

 ぼぉ・・・、ぼぉ・・・、と、わずかに光るでしょう、

 これは一体誰でしょうね、