ややあって外界は眩み、
かすかに、しかし長い音が続く、、
そのときは誰も表情を覗かなかったのだが、
身体ごと隙間に沈んでいたと見え、
流れの先端に何が、
流れの先端に何が、、
あ、あ、という短い響きが、
裏へ、裏という裏へ、、
おそろしくて眠り込んでいました、
伝ってくるもの、
次から次へ差し込まれ、
目覚めたり、眠っていたりするなかで、
徐々に、
徐々にではありますが、
わたしは別の時間なのじゃないかと考えるようになりました。
それに、なにかがもごもごと口の中で鳴るのです、
ふいにこのまま開かれ、どこまでも遠くへ、
それも緩やかに、それも自然に、
疑いのない速さで滑り出るようにして、
放り出されてゆくのではないかと思うんです。
時間は、ひとりで立ち始めています。
いまや、わたしの感応と、
あなたの共感の身振りとが、
たとい同根であれ違うものだという考えを放ちます、
さて、ここに線を置きました、
違った姿で、
試みに、それを触れてください、
例えば懐かしい景色になります、
例えば長い歌になります、
例えば今考えていたことを忘れます、
今生は身振りですから、
なるたけ音を見してください、
揺られたままでいます、
夜毎に舟と、舟で、
水の中へ手を入れながら、
かきまされ、
舞って、舞って、
てんでばらばらのくぐもった匂いを見せるとき、
片側の舟はゆっくり遠くなり、
影に、、点に、、小さな揺れになり、
ただいちにんの音しか確かめえず、
さて、さて、歓迎も、
非難も、驚きもなく、
戸惑いもない人をすっと乗せたまま、
こちらへ、こちらへ、
いまだどこへ打ち上がるかもしらず、
口を結んだまま、
長い音を立て、繰り返し・・・