<1128>「火の中の新しい老婆」

 老婆 火 わたしである

 わたしの前に火、うつむいた老婆、

 老婆、老婆、眠る、

 火の照り、さなかに溶ける。

 わたし わたし 火 老婆

 うつり うつり うつらと うつらと 

 光り 照る 照る 老婆 うつり

 わたしにもそんなことがあったよ・・・

 とける とける わたしである

 火である 火で、火で・・・

 ふと、老婆、まるで新しい老婆、

 火の中へ、いや、そのままで、火の中へ、いや、

 消えて、眠り、燃え、、語る、語る、、

 新しい老婆へ、毛布をかむせる。小さくかむせる。

 わたしは飯を食い、傍らで眠ってしまった。

 明けて、炭、炭、炭。寒い、口の先の先へ、

 ひとりの新しい老婆が。

 ひとりの眼差しが。

 昼間、昼間、あけらかんとして。

 かむせ、かむせた、毛布の匂い。

 寒さ、寒さ、老婆。

 寄り離る草、波。

 飯を食らった、語らった。

 今朝 火、火と、寒さ。

 老爺。

 傍らにひとりの毛布。