<910>「生命の模様、無関心」

 ひゅう。ひゅう。ひゅう。ト、結(ユ)・・・。

 ひゅう。ひゅう。ひゅう。ト、結(ユ)・・・。

 音(おと)はずれにちらつき、寄る、ものを結う。仕草の隅に隠れて、安堵は息、か、息、を静かに過ぎてゆくのか・・・。

 目論見の外で小さく鳴る、は、嬉しい。ゆくゆくは晴れて、より一層分からなくなる。

 謎がからむ、カランと鳴っていて、私は手のひら、私は手のひらのなかに向けて相槌を打っている。手のひらは微動だにしない。

 無垢はひとつの背中だ。私には熱だ。いくつもの時を経ては、幼いとき、本当に幼いときをタネは探している。ついに、私は、動きを音(おと)にしていた(どこかでおとにすると決めたときがあるはずなのだ)。

 無情をあるかどで拾い、長いこと眺めていては、ときどき大きな時間にぶつかることのある・・・。生命はたれかに似て無関心だ。そのくせ、はやい流れを持っている。

 熱をどこかへ放り出したいと思っていた。あるいは潜る音(おと)が聞こえる。内側はいつも静かだと思われていなければならない。渦は人(ひと)の掛ける声をよくきいていた(イ)・・・。

 たびたび戸の閉める瞬間に出合い、その隙間に得体の知れない揺らぎ、優雅さの映るとき、私は、(ほ)、(ほ)、と順番に言(こと)を継ぎ、剥がれていた。余計なものも含めて全てが夜にふっていった・・・。

 置き集めては放し、魅惑の一語で震えては止むそれぞれの、身(ミ)の通り方をよく読む。等しさは呼気にある、とすると、ちょうどその数だけ人(ひと)が分かることになる・・・。