<893>「振動の細かさ」

 こえのふくさと。こえのふるおとへ。よそをゥ見、彼はウんだ・・・。

 彼は私の新しさのなかへ陽気さで進む。

 陽気さは進む。陽気さは進む。

 あるいは、頭の連なりにふざけて似る、ト、道。私でなく、頭に似た道をゆく。そこには声、、は、数字のひとつとして現れる。

 ゆびの先に私を混ぜている。あるいはまぶされた未知のいち所作に、たがう眼(メ)、たがう匂い。

 ここへ掛け、ゆえに私、きりのない、あるいは霧、、の見えない場所へ、あれは踏み足、そこで足音、の、ふるまい。

 どうとあれ、それは彼方の出合い。無量にひょっこり顔を出すことの、どうしようもない笑みへ、また語らいへ・・・。

 (あなたがなになのかを知っていただろうか・・・)。

 それとなく咲くひとつの眼に、たがいの言葉を置いてゆく。眼は膨らんだ。眼は気温を通していた。

 幾度となく重なるもの、を、含んでただ真黒にして、みずからがなだらかな由(ヨシ)、を、うん、とする。

 ただが景色だ。ただが吐息だ。なに、汗はすぐ私を見つけて差し出している。風景のなんの気ないのどかさは、汗をなんと読むのだろう・・・。ただかわく前提のものとして?

 一ミリの微笑み。微笑みは一ミリのウ、みをただ味わっている。味わいが表情に先行している。樹陰にひとひらの気触(き・ぶ)れをする。あれを置いてゆく。あれを置いてかない。視線の意味の外に鳴る。

 おもてを向き、ただ振れることにする、いや、ただものおとの隙間に風側の振舞いであれることを知る。