<969>「あらゆる振り」

 あらゆるゆくえ

 あらゆる染(そ)み、

 あらゆる窓、、

 あらゆるはにかみ、

 あらゆる発ち、から、

 今は過ぐ、

 呼吸が綺麗、

 あらゆるものはひそみ、

 ふたつの横顔、

 転(ころ)ぐ 転(ころ)ぐ 転(ころ)ぐ

 あしあと、

 もの芽生え、

 やたら

 やたら騒ぐ、

 ひとり胸をおさえ

 吹くただに

 ただに浮く、

 それにひとみのすばしこさ

 吹き荒れている

 騒ぎ ひそみ 吹き荒れている

 あなたがたが違(たが)う

 あなたがたのひととき

 すばしこい

 すぐにもの憂く

 ねばこいののあいだを、

 ひどく走る、

 まえの腿のふるえ

 いつとはなしそのなかをゆき

 まえの腿のふるえ

 あたまのなかにも過ぐ、

 ゆびが、ひとつの空気を探り当ててゆく、、

 け、駆け

 け、さらう

 日(ヒ)にするどさ、日(ヒ)に鈍さ

 視線はたがう

 恥じらった

 忘れただけの

 忘れただけのもんじ

 さらに流る

 ひつこく汗、、

 ひつこく辺りに散らばる、

 小石の音(おと)

 またあくがれ、

 破片のそばを過ぎ、

 たれにも届かない、あるいは轟音

 音(おと)は久しく

 ものはくわしく

 淀み、から、あらたに湧出

 それでない、

 ただなぞり、、

 ただ肌におさめてゆく・・・、