<875>「水の徴の内部」

 手のなかにある。私は、水の徴(しるし)をともにし、ひとつぶとともに沸き立とうとしている。

 集合体は激しい。集合体の声に、なにかに乗るにしろ、それは、今までで一番、どぎつい光りを放っている、ことを知る。

 かの、有名な、夜明けを前にし、私は私で嘔吐してしまいたい。全てをひっくり返してしまいたいと願う、小さなかがやきになっている。

 時間という時間が優しい。どうなってしまうか分からない物音のなかに、ざわめく時間として棲んでいる、ノ、私は・・・夜の暑さ・・・。

 ひとことのとどろきが私を全速力で揺すぶり、ついに、その混乱のままの歩みの勇ましさに出合うとき、私は鈍い、しかし美しい光の在り方にわれを失っている・・・。

 大きな音で息を吸い、また吐き、かがやきの名のなかにある美しい沈黙を前にし、流れ、とは、時間の、その濃密に対する姿勢とは、われの外は誰かを問うて震えている・・・。

 われの呼吸すること。ことどもの、弾(はじ)けた強さ、内包性、あるいは、瞬時の爆発。キラキラとする日の始め。私の、その一語性。

 私は回転のなかに誰の言(こと)をも見て、小さく、そして確かにうなずいている。倒れてしまっても、なお、私のそばに、黒くてなめらかな線の、渦巻いていることよ、と・・・。