新しい街を指差す。あくがれが地面から漏れ出す。お望みであれば、穴という穴から、汚れから何から、こぼし続けよう。さいわい、私には上から下までの水があった。備え付けられた大がかりなテレビから、引き裂けた歌声が流れて聴衆はセンボーと苛立ちを演技する。
黙って通りすぎることの出来た道。そこで、見知らぬ人のために演技する。時間が無駄であることを楽しむ。別れを告げなければならぬのと、整列した。整列は言った。
「明日また自由に踊りたければ、今日は列を乱してはならない」
列の途中で、浮かれている人に出会う。呼ぶと、新しい声で話す。
「君は回転だけに集中出来る」
と。
事実この場面だけを切り取って延々と宙に浮かんでいる。背中を曲げて、順番に丁寧に投げやりに、自分の顔を忘れてこすっている。こすったものが、白っぽい壁に移り、ただ暴れた跡をつけているのだが徐々に濃くなれ。濃くなって、忘れても同じ回転を身につけて、
「あそこにあった」
と話せるように。しゃがんで底の中は真暗であればあるほど良いだろう。