<784>「隠れた考えの熱」

 道をしっかりと確かめろ、と言う。どこを渡ってきたのかは分からない、自分はそうだ、と言っている。俺はどこを歩いているのか、と考えてみるのは問題なく、もし仮にそれが分かってしまったら・・・。いや、分かってしまってもあたしの癖は変わらないのだろうと思う。場面の最初と、最後だけ見て、違い過ぎるので判断が出来なくなる、か、延々と見続けたがため、どこをどう見ても同じものにしか見えなくなる、のか。

 隠れた考えが私を温める。何故温めるのか、と話して思った以上を言葉にするとそこまで隠れていない運動とともにそこへ棒立ちになる。小さな隙間を繰り返した。訪ねるかどうかと思案している間にも次々に増えていく。拡がってとどまるところを知らない。

 あなたに相応しいものとてそれは生まれた瞬間からいちいち消えてゆくものよ。だから常に宙ぶらりんへ、放り出されて、方向も決めずに動き出していなければならない。切れて飛び去っていったはずのもので徐々に満ちていき、懐かしい音を聞かせる。それ以外の断片もまた口の隙間からわずかずつこぼれていた・・・。