<769>「彫れ、そこ」

 絶えず左へ、右へ、揺れていく運動に対し、考えが余計なものとして常に、侵入し続けるという形。私があれこれ、言いたい放題のことを言った後、必ず最後でどうしようもない違和感を覚えることからも、それは。つまりただそれだけでは納得したくない気持ちがどうしたってある、そういうものが気持ちと呼ばれるのだと思う。お前は生まれてからは、おんなじ顔をいつまでも担当しているな、と。それならおそらく、同じ場所を塗るように定められたところ。あっ、あなたそれは何という色なんです? 誰かかわりに答えてやってくれ、と見回した、のち、余計な小ささとなっていて何も見えない。

 それは例外だから、と、あちこちで、鼻の笑う音が聞こえる。例外しかないのにそれをどう考えるつもりだろうと、とりあえず疑問に思ってみたところで、朗らかに笑った。なにか気にするようなところがあったのだろう。ここらを彫れ。