<728>「浮遊、なか、そと」

 そういっぺんに訪ねてきちゃいけないよ。だいいち、私には話したいことがあるようでないんだ。ただ、この場所にいて、独特の浮遊と、身体をいっしょくたにしていたいと思うだけなんだ。

 惑う、なお惑う。話している、ということは、惑っていることと同じなんだ、と思うことがある。言葉は染みやすい。言葉は首を傾げやすい。安心して、口数の多い、二人目の出来事。誰から、誰へ、分かりやすい微笑みと外へ・・・。

 誰か、に順序、の話をしていて、結局何が合わされたのか、控えめな振舞いにあちこちの絢爛が映る。先の先を通して、はみ出しては戻る。一度もない道、一度もない風景のなかを歩いている。人が一人あそこに見えている・・・。