<682>「言葉の端だけを軽くあたためる」

 まだ乾かない、居続けるうちでの話。混ぜた、普通の言葉が、ところへ続いているだけの、話。まず立ち上がると、憂愁はない、回答もない。軸を満つ、するする回り出すと、あいや、あくびで一度リセットしようと、するのだが感慨は、起こり、籠もり、時間を、とびとびに笑う、不規則に眺める。

「あら」

随分前、私に言っていたことが、少しずつ姿を変え、挨拶を変えて、再び流れを、眠るようにふやけて渡り出すと、音が鳴る。誰の、ましてやそれが膨らみ切った大袈裟の為でないことだけは承知している。

 何を内証にするかで、しつこくしつこく迷っているような気がした。そのときの手びら、まざまざ、頭から順々に映って離れない。時折、夢を見ているのだろうか。

「俺は参加しない」

と、言ってみたところでこれが、誰に向けられたものなのか、が分からなかった。数多ある歩みだけがひたすら懐かしくなって、いつもの浮遊、と、振り返り、こともなげ、ただまたと、言葉の端だけを軽くあたためるよう。な。