<653>「灰くず」

 かつて、あの辺りに、残っていた紙屑、あの灰、匂いの消え入りそうな、ただ私にだけ、僅かに感じられると信じたもの・・・。ゆくり、ゆくり・・・。間違いのなく、やや、熱、噛んで含んでいるよな、遥かな、熱、また、あらわに。あくがれ疾くすぎてわざわざ肌ざわめかせかかることどもとなく、なく、落としていた・・・あたためられた、これは、わざとこちらの空気で、見れる、逃がし、わななくと、この、必要があの、湿った場所での震動と、ひゅう、ひゅうう。

 もろとも、引き上げて、辺りを見渡すと、その底ここ、からゆくり、ゆくり小さな空気と、

「こうじゃないよな気がするんだがな・・・」

という、静かなつぶやき、それは暑さ、小さな泡立ちが、やがて、泡でもない、声でもない、この頃は、やたらに覗いて、ひひ、ふふ、行動と、何故か似ている、はしとひとふき・・・。