<652>「幾方面から差し」

 理由が、理由がめちゃくちゃであるのよ、と言った。例えばあなたがそこから見ているのだとして、私はここから見ており、また別の人は、違う位置からある独特の感覚の下で静かに見ているのだから、現象がめちゃくちゃになって当然であり、それは理由が上手くいかないのではない、と言った。

「もっと上手くゆえる気がする・・・」

言葉にすると間違う、というより、もっとここにはここなりの組み立て方がある気がするんだ。

「完成のことを、考えている?」

何だろう、もっとすっと通るはずなのだということを考えて進み進み動きつつなのは、完成を目指すが故のことなのだろうか(どうもそうじゃない)。それによって熟していこうともくろんでいるのでもなく、ただ、思うとこと動くとこ、ズレていればそれだけで動き出さずにはいられないということなのではないか。

「もっとこう、おさまるところがあるはずなんだが・・・」