<549>「形のない中心点の、」

 どこという訳ではないのだろうが、何やら、回転を変化を無視してポツンとひとり、ここいらで待っているみたいだ。何故かということも特にはなく、固定するからさあこちらへ、といった態度がそちこちで炸裂する。ゆっくりゆっくり順々に見ていくと思えた通り、なかなかの暗さを持つ。それはかつて、待たされたものだ。なおちょうどよく、気持ちのなかを丁寧に混ぜるように吹いている、この視線が非常な活発さを保ち、保ち得、保ち得ることでニヤニヤ笑いを幾たりか用意する。尋常それは、各場合に当てはまっては消える、当てはまっては溶けていく。溶けていくものに対しての穴としての眼、見えるものなら隅々まで見て頂こうじゃないかという気持ちが壁という壁を突き破って溢れ出る。なるほど感情というものを、身にしみて感ずることもあれば感じないこともある。どうあれその事実がこの身体を板きれにし、時間に応じて段々とその色が濃くなってゆくのを見届ける。大変長らくお待たせをくらったままの姿勢で、途切れ途切れの言葉を交わすと、それからの記憶は通常通りの仕方で動く。