よく見るとそこは満杯であった。
「どうです、満足したでしょう?」
「いえ、満杯ではありますが」
ここはここで終わりです、そう区切りをつけて満足、しかしどうかなあどうかなあと思いながら満足になることがないひとつの道筋を感じている。
「合間々々に寝なければならないのは何故でしょう?」
「それは、覚醒がひとつの現実であるためです」
ひとたび外へ出ると、夜が夜自身の想定を超えて異様な拡がりを見せている。声をかけると、涼しさと暖かさがちょうど同じだけ満ちて来て、そうか、私も記憶のひとつであったのか。今の今まで忘れていました。
「楽をする場所に、ここはいくらか相応しいのでしょう?」
「ええ。ですが、ちょうどよい場所はいくつもの夢を含んでいて、そこから択んでいる姿を見せることは決してしませんよ」
交代々々の狭間、そして、ひっくり返る気持ちと行動を共にし、感動する呼吸も既にない。一秒一秒がやさしく盛り上がるのなら、それ以上必要なものは、もう何もないのだということを、誰に説明するでもなかった。
「それは、満足でしょうか?」
「さあ・・・。こんなことは普段考えてもみませんので・・・」
これからもまた見ていくものだった。