<521>「内証のまま」

 内証の訪問で、見えないものの回転にぐらぐらと巻きこまれ始めて久々の休憩。それは、ひたすらボンヤリしていく過程に思えた。順番を示すとき、私が把握していることはそれほどない。その程度の理解で充分だと言わんばかりの振舞い、静かに降り、見る夢の多さを懐かしく思う。

 きっと、何かが用意された訳ではないのだと思う。ガタンゴトンと音を立てながらの眺めであって、いいではないか。納得することがそこまで大事なことだとは思わない。誰に対しても疑問であれば、それを行進とするに足る。どの角度から覗いているのだろう表情。よくよく走ってみて、息を切らすもまた表情。分解された溜め息をそこここに見留める。

 調子と私とは当然別のものではない。が、必ずしも同じものとは言えない。ひたと寄り添いながら、お互いがお互いを無視しているような感覚に陥る。奇妙なものだ。あちらが決まるからこちらも決まるのであって、ではあなたはこちらなのかと言えば別にそうとも言い切れないところが多分にあるのであろう。充分な笑いを含ませてくれろ。ただし、笑いによって一致を見る訳ではないことは一応言っておかなければいけない。一になるというのは幻想なのだろうか? それとも、一であるところから様々に分けてこないとやっていられないのが、私であるだけなのだろうか。