夕景に踊る一両の流れ。伏せた目を細い影が捉えては損ね、捉えては損ねする。ほんのり暖かくなった内部を船が浮遊する。そこを満たすものは、ずらりと並んだ黒い群れ。警戒心を解かれた無数の粒は行き場を求めず、懐かしい光の中で空腹を装った。空中睡眠の頻度はいや増し、匂い立つ入口の隅でこうして待っているのだ。
当然の如く濃さはなだらかに行き渡り、揺すぶる、足の上でもったいぶって染色を施し直す。もう一度、またもう一度。無数の細い筋に雨の幻影が重なって、何故だか暖かさを増していく。ためらうことを知ろうともしない眩しさとなって・・・。