反発しているうちの考えというのは

 違う意見を押しつけられたとき、それに強く反発して自己主張をする。このとき、なんだか自身の考えを積極的に打ち出せているように感じて、ある種の満足、昂揚を覚えることが出来る。

 しかし実際、反発しているうちの考えというのはまだまだ自身の中で不安定であって、いっちょまえに口にしてはいるものの、その考えがまだまだ沁みついていなかったり、自身でもまだ疑問に思っていて、

「なるほど相手の意見も随分痛いところをついてくるな・・・」

と感じてしまっていたりする。

 本当にあるひとつの考えが自分のものになっていると、反発はしなくなる。誰かに異なる意見を述べられても、ヘラヘラと受け流すだけになる。反発しているうちは考えの精度がまだまだ甘い。鋭く突かれてもヘラヘラしていられるようになって初めて自分の考えになったと言えるだろう。