「ねえねえ、遊ぼうよ」
「う~ん、今日はごめん」
「え? 何か予定あるの?」
「いや、そうじゃないんだけど、今日は遊ぶっていう気分じゃなくて・・・」
「そっかー、じゃまた今度ね」
「うん、またね」
これが自然に出来たらどんなに楽か、どんなに理想的か、ということをよく考えます。でも実際は、
「そういう気分じゃないから、遊びたくない」
と言ってしまったら相手を怒らせるんじゃないかということを考えてしまい、なかなか言うことは出来ませんし、これを言われた場合は言われた場合で、
「えっ、私のこと嫌いになったのかなあ・・・」
と考えてしまい、相手の、
「気分じゃない」
という発言を、その言葉通りの意味で受け取ることが難しいような気がします。
しかし、相手がものすごく仲が良い人であっても、毎日遊びたいという訳ではなく、
「気分じゃないから遊びたくない日」
というのは事実として必ずあるのです。
むしろ、仲が良い人こそ、気分じゃないからという理由で誘いを断るのが難しく、もしこれが知り合い程度の人からの誘いであれば、気分じゃないとは言わずに、適当な理由を言い繕って済ませることもできるのですが(相手も、知り合い程度の人にたいして、その理由のことを根掘り葉掘り聞いてくることは、あまりないでしょう)、仲のいい友人となると、適当な理由を言い繕うのはいくらか抵抗があると言いますか、仲が良ければ良いほど、嘘の理由を拵えるのが心苦しくなります。
ですから、
「う~ん、今日は遊ぶとかそういう気分じゃないのよ」
ということを正直に伝えられれば一番良いのですが、どうしても、
「私と遊ぶの嫌になったのかなあ・・・」
という余計な心配を相手にさせるような気がして、正直には言えないでいるのです。