<1868>「泥のなかから」

 あるのに、

 そのうつわのなかに、あるのに、、

 一量の手、

 そのまま映って、、

 私のなかに任されるままに、

 あるのに、、

 ひとりの肌を付ける、、

 ねえ、今生まれて、

 その奥に肌を付ける、、

 その奥で静かに身体が打つのに、、

 ひとりで付けている、、

 

 ああその手の振るもののなかへ、

 ひとりで帰り、

 ひとり立ち上がるもの、、

 装うもの、

 身体が続いて仕方なくなるところへ、、

 次々に誘う、

 次々に揺れ動く、、

 いちまいのそのなかにはいり、、

 少しの熱と、、

 なまの手ざわり、

 そこへ、迷い込むともなく迷い込んでゆくひとと、、

 はるかへだたるところにいて、、

 なにかねばりけを感じる、、

 腕がしだいにその状況に符合して、、

 私はかく、、

 揺らぎ揺らぎつ、かく、、

 そのときの濁った音、

 私は、その深くへきこえて、、

 また等しく空間に生まれ、

 土台を眺む、、

 どこから来た、

 これはいつからかたまっていた、

 いつから出来上がっていた、、

 いくつとは知れず、

 私は、、そこに腕をかき、泡を立てている、、

 ああいまそこで濁る、、

 

 過去の響きに合わせ、、

 生まる、生む、生む、生み、、

 その整列、

 その歩み方、、

 そのはてをたどる人の軽さ、、

 音の静けさ、、

 に、

 肌を合わせ、、

 今にそのま、へ、ひとり滑る、、

 からむ、からみ、ゆく、からむ、、

 私は自体でただの場へ成分で溶け、、

 ただ垂れて、、

 ただあわただしく続く、、

 なにごとかの、不安の熱を持ち、、

 一途、、

 ここへ続き、、

 私ははてに手をあててそこから随分と水を持ち帰り、生まれる・・・

<1867>「垂れた液の裏」

 あたしはただにこの時刻のなかに溜まり、、

 それぞれを見る、、

 それぞれを加えて、、

 私はいまいちりょうの流れを見る、

 日を見る、、

 混じりあえて、

 私のなかの粒だ、

 流れて、、

 身体のなかの事は、どこか、、遠くに連なり、、

 いまひとつの様子で浮かんでいた、

 身体を確かめて、

 ここへ来ていた、、

 

 わたしが照るまま、、

 それも、一量意識で醒めて、、

 揺らぐまま、

 夢の中で醒めて、、

 いまひとりの具体的な時間になっている、

 そこで静かに揺れて、、

 枝の先へ連なっていく、

 ここは鐘を揃え、、

 それへ次々に、体重がかかり、、

 顕現する、、

 晴れて、顕現する、

 果たして 顕現する、、

 私は醒めた歩行を連ね、、

 内意識でここに来る、、

 ここは豊かな鮮紅色、、

 ここは見事な膨らみ、

 絶え間なく私に注がれて、、

 私はただたしかに地面を踏み、

 ここで生き始めているのだった、、

 その奥も静まって、

 私の中に、、

 はっきりとした印を持たせはじめてくるのだ、、

 裏に、裏、

 裏にまわれ、、

 そこでは溜まりに溜まったものがあたたまり、、

 懐かしい風景を見せている、

 ここに一量の指をつけ、、

 私から垂れる、、

 床へ落ちる、ひろがる、ふるえる、消える、、

 掬う、

 黙っていた・・・

 

 ただ黙ってこの歩行の網のなかに、

 静かに含まれて、、

 それはあたしか、、

 あたしからさしているものこの地点の微量な物事を、、

 ぶるぶると振るうところのものなのか、、

 あたしはなかざま、、

 その奥へどうどうと進み、、

 なにも見えていないかの、

 ひとつの歩みを、、

 粘性にして、

 裏側へ、ずるずると滑り込むようにした・・・

<1866>「灰白色の中」

 その肌の中にあり静かに誘うのが見えた、、

 いくついくつと言わぬまでも、、

 生き、

 当たり前に過ぎ、、

 そこから下へ下へと走っていく、、

 今遥かに誘う、

 揺れを見る、、

 見つめる、

 あたしはあたりまえの響きのなかから幾らも出て来るので、 

 少し惑い、、

 また静かに運動へ帰った、、

 また静かにここらへ帰った、

 

 ひとつの響きにその姿を代表させ、、

 私はますぐにのびる、、

 のびて、またいくつもの水を受ける、、

 なるほど、、

 あなたはひろがった身体、、

 やわらかくなった繊維、

 順次そのなかのものがここへ来て、

 私に聞こえる、、

 私にはそれがにぶいひろがりを意味し、、

 ただその響きにそってのびていこうとした、

 いや、なるほど、、

 そのままのびてしまうのでした、、

 どうやら、用意されたもの、日、空気に誘われ、、

 私はそっくりそこに立ちます、、

 あれあなたどこかで、、

 ええそうわたしここで、

 ここで燃焼と燃焼を合わせていたのです、、

 その移ろいがよく見えるまま、

 沈み、温度になり、、

 点まで縮み、、

 細い通路を、ここと結ぶことになる、、

 いくつもの手合いが、、

 それを知りながら、、

 そこはまくらな夜なので、、

 底の方で静まり、、

 火を交わすことはしない、、

 

 ただ照り、、

 ただぼうやりとそこの方からいちりょう、、

 煙が出、

 巡り、巡り、、

 あたしも空気のなかへ、

 あたしもそのしろはいのなかへ、、

 どうどう潜っていく、

 どうどう変わっていく、、

 一量でこの平面のなかにきこえ、、

 この平面のなかからかく生まれてくる、

 その様態としてここにありました、、

 しばらく置け、

 ここに一両の粒を置け、、

 それは蹴られ、踏まれて散らばるから、、

 生きていて諸方へ散らばるから、

 そっとその通路を伝う響きに身体を寄せていなさい・・・

<1865>「戸惑いのなかに生まれる街」

 ひとつの時日のなかにくらみ、、

 その空気から滑り出てきた人として、

 今の点を渡る、、

 じわじわと水がしみだして来て、、

 身体はただそこで曖昧になり、

 見えなくなり、、

 すっかりひとつの呼吸としてそのなかに溶けてしまった、、

 どこを見ている、、

 私は問われた、

 しばしば、どこをも見ていないことがある、、

 と、思われた、、

 今は、静かな呼吸のなかに参加していて、、

 ひとつを掬う、、

 時日を掬う、

 ひとつの手を合わせに来る、

 

 少しの火がつき、

 いつものようにさらに、回転する、

 身体が、

 私の前に現れて、、

 なに、どうしたらいい、、

 私はどこか知れないところから、、

 まったくまっすぐに、、

 求められているのを知ると、、

 道が、鉛色になり

 ぐにゃりとゆがんだらしい、、

 そうして、それも去り、

 私は涼しい、さびしさのなかにかえって、

 ひとりで嬉しかった、

 川沿いを走る、走る、、

 液のつきるまで、

 かわいて、そこに立ち尽くすまで、、

 私は、しかし、、

 異郷の、

 水を含む肌に触れると、、

 ただもう白い炎になり、

 その時日へ、覆いかぶさっていた・・・

 

 誰か戸惑いの、

 戸惑いの表情のなかに、

 生まれる街、、

 あなたはまた息をしなおす、、

 どこから流れてきたか、

 それは知れない、、

 ただあなたの異郷が、、

 存在から液になり、外側に垂れ、、

 その場に立ち尽くし、

 どこか遠いところの匂いを持っていた、、

 そうか、

 あなたも炎か、、

 どこまでも白い炎か、、

 私は この地面から立ち昇り、、

 静かにその様子のなかへ、

 紛れていく、

 遥か遠くから来たものをここへ受けて、、

 あなたはいつもの日をそこへ尽くす・・・

<1864>「環の中の膨らみ」

 ひとつの環のなかに、

 漏れ出して、、

 これは、どういう呼吸が過ぎる場所なのか、、

 それぞれ、確認している、、

 私がまたそこから生まれただけで、

 ひとつの時刻に過ぎて当たり、、

 今、吹いてきた、

 今、あたりまえに吹いてきた、、

 私は熱を持ち、

 そのなかで盛り上がる、、

 そのなかで駆ける人、

 私は、そこで少し風になってみたい、

 とひとりで確認した、、

 物事が、重なり、、

 私は点滅するもののなかで過ごす、、

 過ごしている日の模様のなかで浮かぶ、

 浮かんではひとしく過ぎるものへ、

 歯を、

 皮膚を当てている、、

 

 建築の、静かな日に、

 私は住み、、

 私はものごとの歩みにぽうとなる、、

 なにだ、ひとつ置かれる、

 ひとつの皮膚が置かれる、、

 私には先がさわぐわけではない、

 沈黙した、

 その日のささやかな姿があるだけで、、

 私はそこに風を送る、、

 ぽうと照る、

 ぽうとすみやかに生まれて、、

 一量はそこで漏れる、

 一量は、はるか外で華やぐ、、

 私は皮膚を見つけ、、

 そのなかで存分に膨らむ、

 膨らんだ姿へ、、

 あたしをかけて、

 あたしは次々に溶けていくもののようだ、、

 じたじたと静かにつき、

 静かにあたたまりながら、、

 ここへ生まれてくるようだ、

 

 しんの隙間へ、

 顔が覗き、、

 そのなかでさけぶひと、枯れるもの、、

 肌をたたき、、

 物事を起こすもの、、

 やがて静かな誘いがこちらへ浮かび、、

 ただ手をのばして探りつつゆくひと、、

 投げる人、帰るもの、、

 呼気が乱れる、、

 私は風になって少し疲れている、、

 嬉しい、、

 肌を見せてうれしい、、

 ここから幾筋もの水が流れ、、

 またその跡も嬉しい・・・

<1863>「生活の緑」

 今にまはだかになりその時刻へ来る、、

 いつもそこに肌が出て、

 次々に合わさり、

 次々に見えなくなっていく、

 はしゃぎ、、

 ひとが次から次へとはしゃいでいるところへ続いてきた、、

 私は人間だ、、

 そこで生きていたら皮も剥がれよう、、

 ひとつの糸になろう、、

 糸になって水へ浮かび、

 色がにじみ、

 ほぐれ、、

 ただもう流れの一部となる、、

 流れの一部となり四肢はもう無辺際にのび、、

 あたしは肌の色が変わる、、

 

 どこまで行くのか、、

 その日の肌の冷たい感触に、、

 私はどこまでも目覚めていた、

 私はどこまでもここで呼吸をした、、

 あたしはほつれてどこへ、

 かの糸のにほいも今は紛れて、、

 わたしは生き物の集まりから生まれる、、

 うっと盛り返す呼吸を確かめて、

 またそのなかを泳ぐ、、

 またそのなかを揺らぐ、

 いちいちが肝要なものへ、

 参じ、あれこれ、、

 生じ、いろいろ、、

 ものごとも、かく色づき、それから正面へ、、

 地の肌はここで振るえて、

 様子もなにやかやでつながること、

 私はここで生きて踊りを成そう、、

 諸々、過ぎ、、

 私は同じ壁を、触れた、、

 それは冷たく、

 静かに黙り込んで、、

 行き交うものごとの粒の一切を、、

 確かに吸い込んでいる、

 

 今にましろへ、、

 順次滑り込み、

 順次回転してくる、、

 あたしはどこまでもその道を得、、

 この豊富な静かさのなかに身がなびくままにした、、

 ここへ伝わる、、

 一人の姿勢、

 私はじっとその粒の行き交いを見つめることにしました、、

 この時刻に、

 得体の知れぬ気分が走り、、

 とまどいながら翻弄されたままでいる、、

 なにをか得、

 なにを見、、

 知らぬ肌の記憶のなかへ、

 どこまでものびるとき、、

 私は、これも生活の緑につらなるものだと感じている・・・

<1862>「浸透する場所」

 そもそのなかにひとつある身体、

 の、なか意識、、

 私から駆け、、

 各所へうたい、

 それははじけ、それは語り、、

 いまひとつの視線のなかで仰ぐ、、

 いまひとたびの目印のなかで来る、

 掴む、揺れる、こぼれる、、

 その跡が長になる、

 長になり、どこまでも眠る、、

 長になり、、時間に踏まえられてある、、

 新しい歩行の通い、、

 新しい仕草の迷い、

 私はこんな時刻を選んで光る、、

 それはどこまでも踏まえ、、

 ここに跡をつける、

 ここに跡をくれる、、

 探している姿、探していない人、、

 どうしてか偶然に、ここにまつわりついて、、

 さわぐもの、増える、、

 生きるもの、持続する、

 あたしのそこで晴れる姿が、、

 あたりまえにうつり、

 あたりまえに磨く、、

 拭いた布が黒く汚れている、、

 あたしはその様子にはかまわずに、

 持続する息のなかへ、、

 あたりまえに潜り込んだ、、

 そこは深い、そこは星が見える、、

 今生まれたばかりのものが星になる場所、、

 ひとを誘う、、

 ひとはひとりの粒になり、、

 またあたりまえに溶けてしまう、

 咲いた、咲いた、揺籃、

 地の続く場所、

 息の続く場所へ、、

 まっすぐに出でて、止むことがない、、

 そこに流れて、

 沈むことがない、、

 ただ溶けるだけ、

 ただよく見知った映像に、

 静かに混じるだけ、、

 あたりまえになった場所に、

 私は成分を持って行き、、

 幾分か、全体かを交換してしまう、、

 それが続くありさま、

 それが時刻を育てるありさまへ、、

 真っすぐに手をのばしましょう、

 まはだかな手が見えて、、

 今にわたしはこの平面のなかに静かな沈黙のうたいをみとめると、、

 ただ身体を低くして潜った、、

 ありたけの身動きで、、

 風の中に場所を作り、、

 適量の装いを持ち、

 ここへ、ここへ、沈む沈む・・・