<836>「青年の擬音は、」

 継ぎ穂。継ぎ穂。無理の漏れ、マ、から悲哀。悲哀路(‐ジ)の行き先から見て、かくなる上は、平行、それから道。

 通い路。嘘の通し方。あたしの背のなかへくるまる方法。それは何故、何故。木造の連なり。枯れ葉のならい。並べて食べる。まちまちの、儀式の、マ、一切。感情面からひしと切断線への、訳ありの跳躍。疑問点の移動。移動的焦燥感。

 限定された、振舞い、と明日(あす)の影。ヒ、一度目の輝き、指の混乱。指は惑乱の下(シタ)で幾度となし軽く、また軽く、気持ちまたたく。

 またたきされた顔の、先のまた先。あくがれ照り合い、模造紙の爆音の笑み。味‐見‐得(ミ、ミ、ウ・・・?)。

 熟れていく抒情、熟れてゆく桝目の数に従って、まつりあえぎ。ぎこちなさのカラカラと鳴る音。覚え書きの疾駆、失踪、しきい。

 気的バラバラの普通の証言。ひとりごとのまどいただあらわすにあらずゆくえとりしだいふくらみ・・・。

 こちの捉え、悲し日(ビ)、すっ・・・と立つ青年。青年の擬音。擬音の選択。あれまとこのま、まずもてゆるめ、ゆるめのち気(ケ)取り、後ろ合わせ。

 しゅうト冷め、しゅうト鳴り、あのかた、このかた、いくらも含む底で知れたとする、の、呆然。棒立ち。滂沱このまま、街の薄い華やぎを渡る、その覚悟する姿。ともにならうそばの。

<835>「かれいどの花を携えて」

  かれいどの花を携えて 不明の前に立て

  振るえがあなたの身体(しんたい)の欠片を訪ねる

  不明管のなかに 不都合な湯気として控えるとき

  お前は見ている お前は泥の祈りを見ている

  かずえひらいた このあとさきの手じるしの道

<834>「土の線との折り合い」

 土くれとの丁寧な、あるいは爆発的折り合いについて、私は寝そべるまでもなく考えていた。考えは美学をからかい、また、抽象的な基準の上に立って回転し、ざわざわとした感情のなかでひとりの子どもを見つけ、ただその場で見つめ合うということが起きた。私は一枚の綺麗な、炸裂的な印に、しばしうっとりとしていた。その笑みはやたらに記憶のなかの怪現象と触れ合う。誰かが怪現象を食らうのが見えた。私の角(かど)に切断するいっぺんいっぺんの発音が見えた。発音は綺麗に炸裂しているように見えたが、誰に訪ねても物事は蒼白とならざるを得ないように思われた。和解は綺麗だった。しかし楽しい夢のあと、ボウとする音に誘われたひとつぶの感慨は、何かを潰しながらこちらを遠慮がちに眺めるような気がしたのだ。それはいつかの花火の光線。光線は遮るものたちとともに不備の呼吸を味わっていた。味わわなければならない何ものかがあった。ひどくコンパイル・・・いや、困憊してゆく掛け声様(よう)のものが私の顔にかかる。私の掛け声は不気味に戦闘線を駆けていた。全てがたわんだ。たわまれた全てのために私は小さな土くれとの折り合いのそばまできていた。感情線はふいの緊張をしいられた。興奮の甘いささやき声が彼の不透明の源(みなもと)となった。

<833>「無をどり」

 真昼のからんとした顔。日常の小さなヘコみによくぞ紛れ込んでいる。そしてア音、イ音。倍々の行方のなかで意味。

  貝の中でザギザギする・・・。

 頭のなかは効果人(びと)たる無音の成就。無音の湯加減。無音室生成法売買。倍加する人(びと)。ひと、ぴと、子どもの頃・・・。

 カラで呉れないもう今日び、大団円の裾からひらりと輝いた、あれは飴。あれは手品師。夕暮れどきひとりのリヤカー押し人(びと)。感動に振るえまざまざと見せるは、絵味。なつかしいタッチ。あァ慕情や、慕情。

 回転体のなか、無香の空間で何やら話し声のする・・・。

  おどれうしろ染め覚悟して振り返られよ

  おどれうしろ染め覚悟して振り返られよ

 夕(ゆふ)どきのナ音、ネ音。飴色たる烈情風景。石焼き芋の線は空想的延長を望み、大レースのあとのひとつぶ汗。食べ散らかしたものの、なにやかやフェードアウト。そこにひとりの息。

  ほゥ・・・(ほゥ・・・)。

 揺れた。緊張線の端(はし)に、夜。紛れもない朝声(アサゴエ)も、一枚剥がされたまま。素知らぬ風で、猫の声。猫一匹の冷静。そして飴色の目玉。かく紛れらる、そこに太くて、曖昧な、以後の明かり。あれは確か、他人(ひと)の置き換える、なおかつ、気づかれない程度、腕まくりする、迂回的態度。

<832>「袋から垂れて歩く」

 水の中、でリズム的な感心。全てはくぐもり、全ては非‐言語的。

  全ては非‐言語的(de)。

 そのたくわえ、挑発、無‐む‐意識の補給。補給路のきらめき、補給路のてらてらした・・・。

 元来この、陰(かげ)の、非‐視覚の、くぐもった言葉。たくみな音声の押し寄せ、集合的無関心、軽い嘆息。のあと(のあと、のあと・・・)。

 水分的部分世界の頭上、きれいさっぱりとした、言葉の透明と、うごめきから遥か遠く、軽いものをパチ・・・と弾(はじ)いた。そんな響きに、

  言葉に対して落第的であろう。

 と、水平面でぶくぶくと泡立てるひとりのなま(の)けもの、それは生物的時間で見ると忘れ難く短く、明日も足、あなたも足、歩行の言語性。

  歩行の現語性?

 うつつにひとりのこりのしずくたれかかぶされてみて和足しの・・・。

 和やかな計算の末、としての自分。自分語り。(騙)自分をカタリ・・・?次々に弾(はじ)かれてゆく珠(たま)の音(ネ)。そのかわいた、短い振るえにより言語への関心にうごめき出す。計算の果ての姿。またそこで、終わりのない、おそらくは仮の、姿に対する思い入れ、膨らんだ、張り、袋的身体(しんたい)をさらす。

 さらさらと小さな時間が集められ次第に組合の人びとにより暗算され、袋の休憩を瞬時に思いつくときと、忘れてまた動き出す、その第何段階か目にひらく思いがけない沈潜と浮上の同時的快哉。それから皮膚。皮膚の頑固なよそ行き性。

<831>「帯び、帯び」

 裸足であること。あなたの話は難しい。決まり。数えたもの帯び、声を帯び、声ひからびて落つ。のちに、靴が暮れに暮れた、へなへなの皮。小石。

 おぞけのなかへひとりの感想を差し、たくらみとともにひしゃげた。かの空中感想はそしてひとり歩く。

 あたしは笑わないと気が済まないよっ。申し訳は誰のために垂れる。おふざけの過ぎたその向こうの向こうで、ひとり茶を飲む形と、暮れ、一枚の鳥。

 文言的な緊張。文言的な弓の張り。空気を畳んだのを見た。見物人の言葉はゴツゴツとして心を通る。身体的メッセージに従って周到に放心を用意したのは誰だ。あなたは誰だ。

 禁欲的なメッセージの数々に鼻的(びてき)に爆発していた頃、およそ嗅ぎ得る範囲が私としたものだと知る。徐々に匂いが分からなくなるところから始めよう。それは親密となる。

 親密的的確な試練。語りかけは次第に冗談だけで良くなる。不完全に空を仰ぐ。塵のメモ書き。メモ書きは散る。

 解釈の間に挟まって抜けなくなった笑みに、もぞもぞした顔とその中身を一緒に添えておく。飛翔は慎重に集め、砂利の一音一音をも確かめる。つまりは直観はいつでももぞもぞした藻類のなかに埋まっている。

 おおなんという鼻劇(びげき)。嗅いでいるうちはよそである。よそから借りてきたもので、仕方ない今度は確認のない歌を言おう。おそらく破裂、おそらくおおらか、おそらく今一番食べたいもの、ちょうどコックの断片的記憶とともに席へつく。ほの明るい。

<830>「スープは待った」

 スープ。スープは待った(何を?)。待ち合わせの騒乱。場としてのうごめき、混乱のリズム的(de)酩酊。

  ドゥイブチィ。

 たった一滴。それも、調味料以前。裏切りはいつも笑顔であり。それからたった一点、点に視線。見事らしさ。あなたには開示、あなたには感動の文様。文様的笑顔の群れ、にただの一滴人(びと)たり私。私は調味料の夕べ、味覚的(de)ダンスのひと群れ、もそもそのじゃがいも。

 じゃがいもはスープ。スープは冗談のなだれ込み。込み合う場、をぐるっと一回転す。すー。

  スープスタイルディップドポテチィ。

 噛み合わせ、それから、等しい眠り。おらがその真白な湖に浮かぶときの光景たい、この鼓動(つづみうご)くのかね? 割れ割れは鍋? 蓋(豚)? 歓喜の野菜、根菜。白菜の擾乱。白菜はすごくタイプ、タイピングコミュニケーション。コミュニケーションの輪。輪切り。輪っか的(de)音びと、断面のプチプチ、焼きたらこ。

  焼きたらこサウンズライクプチプチプチィ?

 単語(ワ―ズ)発奮。懐古の縦断。行列の感度。沸騰的(de)発声。あー鮮度。鮮度万度叩きつけて文字場の馬鹿力。高温の楽しみ、高温の興奮に圧、圧、あっち? 冷(ひ)い冷(ひ)い風(ふう)、冷(ひ)い冷(ひ)い風(ふう)、日の踏のみ。日の重なり、何層にもなりカレンダー。確認、ゼラチン質、豚の確認? 木、木、木の中のカラスタイ米を食らう、むしゃむしゃ。木の下にトリュフ、木の下にトリュフと大爆笑。めんどり食って苔、苔、紅(コー)!