言葉の先の先の方から、私がただれてくる。名付けようのないものがただれ出てくる。単独者を追っている。ひとりの形を確かめるのに、いくらか時間を稼いだ。厳しい視界のなかへ、意図した私と意図しない言葉を置いてみる。
そこらじゅうが愉快だ
小さな一言が、あちこちで滲んでいる。適当に見た夢で、私は身体を忘れている。低い声が聞こえる。もう届かないところへ、平気でぶつかって、気がつくと辺りは明るくなる。
そこらじゅうが愉快だ
狂おしさもしょうのない。あたしたちの前で塞がると、ただこぼれたものだけが見えてくる。
「私はこれを大事にするよ」
ヒリヒリして、近づいてくるだけで、張りつめと張りつめのあいだのように綺麗だった。愉快とともに燃えていた。