あくびをする。誰かがいない。空気を分ける。ここはここで、不在のあとを楽しんだ。
けいきが落ちる。けいきを拾う。わざと塗りたくる。ここはここで、不在のあとを楽しんだ。
指でしめす。方向は踊る。風が水気を求めて近づいてくる、と、ふれる。ふれて落とす。間違い探しのなかにいて、不在もそれもなんのその。
初めて見た肩から、そのなだれこむべき場所を見極めて、緊張に大げさに溶け出しそうだ。
ただの一度でのふるい、ふるわれ、ひたすら顔の上を交換してゆく。見えていいものも今は見えない。
心変わりもまた違う場所。思い出したように熱くなる。触れている。触れていい。せめてもの遊びあなたと私と確かめた後で。
いない、いない。不在もなんのその。ここにはここの、後には後の、静かな考えらしきものがあった。