<759>「当たり前の、呼吸をひきずる」

 ここがまだ外、ここからうかがうことが出来、かつ、きれいなもの。誰かから声がする。奇妙に、覆うとも、払うとも知らず、そばへぞろ、ぞろ、ぞろ。確かに寄らせ、分からせ、今すぐにでも走る、うかれる。

 無音のなかへ出て、大きく停止する。動くつもりを持たないときは特に、その場でかたまれる。何通りもの知らせ、何通りもの思い込みが、がやがや私のなかを走る。いちどきに軽くなる前の・・・。

 言葉にすればなるほど分からないほどの、違いやら違い、拾うなら拾う。頭のなか、からだのなかから離れざるをえない、と、ひとりで無茶を言った。見えているのかいないのか、そんなことには頓着せずに、普通の呼吸を引きずった。