<707>「ひとりの呼吸は意味ではない」

 喚いている。喚いてほしい・・・。些細なこと全部、問題がないのだと言っている問題でないのだと言っている。大事なことって何だ、細かくないことって・・・。それは、規模が大きいだけなのではなかろうか、どう扱ったらいいのかが分からないほど、大きいだけなのではなかろうか。しかしまた、そこから大きくなればなるほど、些細だという考えが顔を覗かすのではあるまいか。うわあ、これだけデカいのならあたしにはもう関係ねえや。

 都合の良い大きさには、何が託されている? ある目から見て、ある角度から些細ではあり得なくなるその大きさには、一体、何が託されているのだろうか。例えば、ひとりの呼吸は意味ではない。ただ些細でも、オオゴトでもなく、また、再び回転する理由もない。しかし、ひとりの呼吸は意味などではないのだ。

 このちっぽけな、などという比較が、まるで的外れであるからこそ、延々と細かく分かれてゆくし、訳の分からないところで突然に現れたりして、少し戸惑っていたりもするのだろう。丁寧に挨拶したり、雑に投げたりしたところで、回想はあくまでも舞っている。